義母がアルツハイマー型認知症と診断されたのは5年半前。
私達が結婚した当初、義母はまだ55歳。今の私の世代です。最初のころは同居していましたが、私達は家を建てて、別居しました。その後はずっと1人暮らし。
55歳、今思えば随分若かったんだなと思いますが、年齢とは相反して、当時から精神的にはすっかり隠居でした。
面倒なことは私達夫婦に何でもお任せ。要は自分で考えないんです。他人まかせの義母に腹が立ったことは何度もありました。
正直、義母と生活するのはストレスでした。
別居してからは、たまに行き来する程度。義姉に色々頼んでいたようです。
そんな義母がある日、救急車で運ばれました。当時、義母は74歳。
電解質のバランスがひどく崩れていて、意識はあったけど、なんかおかしい。
認知症?入院先からも、専門の病院で検査を受けるよう勧められました。
その後、認知症の専門外来に予約をして、検査を受けました。
認知症専門外来で行われる主な検査
- 家族、本人の面談
- 認知機能、心理テスト
- 身体的検査(血液、脳波、超音波、MRIなど)
検査は半日がかり。結果は後日夫と2人で聞きに行ってきました。
「アルツハイマー型認知症」 記憶をつかさどる場所の脳に中等度の委縮が見られました。
義母には糖尿病の持病があります。
アルツハイマー型認知症の発症因子はいくつかあります。
*加齢・遺伝・高血圧症・糖尿病・難聴など
特に糖尿病については、発症因子としてはよく知られています。
そもそも、アルツハイマー型認知症の原因と考えらる物質が明らかになっています。その1つが ‘脳のシミ‘として知られる老人斑です。老人斑は「アミロイドβ」というたんぱく質でできています。実はこのアミロイドβは認知症が現れる20年以上前から、脳内に蓄積し始めると考えられています。
さらに、近年の研究で「糖尿病」によってアミロイドβの蓄積が高まりやすいことが分かってきています。蓄積したアミロイドβは、脳細胞を死滅させると考えられています。
では、なぜ糖尿病の人は、アミロイドβが蓄積されやすいのでしょうか?
その理由の一つが、「インスリン分解酵素」の存在です。
私たちの身体では、すい臓から分泌されるインスリンによって血糖がコントロールされています。役割を果たした使用済みのインスリンは「インスリン分解酵素」の働きで分解されます。実はこの酵素、アミロイドβを掃き出す掃除人の役割もあるのです。
しかし、糖尿病になると血糖値が上がり、インスリンの量が増えすぎてしまうと、「インスリン分解酵素」はインスリンの分解に手いっぱいになってしまいます。そうなると、脳の掃除まで手が回らず、アミロイドβが溜まってアルツハイマー型認知症になってしまうのです。
そもそも、糖尿病自体、遺伝が大きく関係しています。片親が糖尿病の場合、こどもが4人いれば、そのうちの1人は素因を引き継ぎます。
義母の家系はまさに糖尿病の家系です。そして、義母の母、叔母達は皆、認知症でした。
私が結婚して数年は、糖尿病のコントロールも悪く、本人もあまり気にしていませんでしたが、糖尿病専門医の病院を紹介して、そこに通院してから、栄養士さんの食事指導、運動指導、先生の指導等あり、血糖値が改善されました。
ただ、20年以上前からの蓄積を考えると、やはりなるべくしてなってしまったのかなと感じています。こればかりはどうすることもできません。
現在、義母は80歳。要介護2。
家族の顔もわからなくなってしまいました。異物も口にします。
本当は特別養護老人ホームに入所を希望していますが、要介護3以上でなければ、申し込みできないのが現状です。
ショートステイを限度額まで使って、数日、義姉の家に連れて来て、またショートステイの繰り返しです。
認知症の介護度からすると、要介護3以上ではないかと私は見ていますが、そこは主治医の意見書、認定調査の内容をみての審査なので、難しいところです。(介護の状況に応じて、介護認定の変更申請もできます)
現在、アルツハイマー型認知症の根本的な治療薬はありませんが、「マデュカヌマブ」という治療薬が開発されていることが最近話題になりました。実用化が進むまでにはまだまだ課題があるでしょう。
ちなみにうちの夫。現在59歳。
高血圧症で治療中。糖尿病は昨年、正常値よりやや高く、経過観察になってます。
母が認知症になったのは74歳なので、あと15年したら認知症?とひそかに心配してます。
ここ1年、すごく忘れっぽくなってきましたし、複雑な事を考えるのが面倒なようです(同居当時の義母を思い出します)。
とりあえず、糖尿病にならないような生活を心がける事、そして、60歳で退職ですが、元気なうちは働いてもらおうと思っています。
今日のポイントです
アルツハイマー型認知症は糖尿病と関係が深いので、生活習慣病の予防(食事・運動)を心がけることが大切
認知症が疑われたら、認知症の専門外来で検査を受けること(一般の脳外科等ではなかなか診断できません)
周囲が気がついた時は、症状が進んでいることが多いので、何らかの介護が必要な場合が多い。家族だけで抱えず、地域の包括支援センターに相談しよう(介護認定の申請、在宅サービスの利用など相談にのってくれます)
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