女性が知っておくべき重要な病気

女性特有の病気といえば、婦人科系の疾患を思い浮かべる方も多いと思いますが、妊娠や出産、閉経前後に関連して発症する病気があります。

それは『膠原病』です。

目次

膠原病とは

膠原病(こうげんびょう)とは免疫がトラブルをおこすことで発症する病気の総称です。「自己免疫疾患」と呼ばれます。

人間の身体には、異物や病原体などが体に侵入してきた時に、異物と戦って体から排除しようとする”免疫”というシステムが備わっています。この免疫が何らかの理由で暴走し、自分の体を異物(=非自己)と見なして攻撃してしまうことで、炎症などが生じます。

攻撃の標的の部位や病態の違いによって病名がつけられており、膠原病には25種類ほどの病気があるとされています。

代表的な疾患には「関節リウマチ」「全身性エリテマトーデス」「シェーグレン症候群」などがあります。

「関節リウマチ」 免疫が関節の滑膜・軟骨を攻撃

●発症のピーク、男女比など

 ・30~50代

 ・男性2:女性8

 ・およそ100人に1人の割合で発症

●主な症状

 ・手指、手、足、肘、膝関節の痛みや腫れ

 ・手のこわばり、足底の違和感

 ・関節の変形

 ・微熱、だるさが続く

 ・箸を持つ、ボタンをかけるなどの動作がうまくできない

「全身性エリテマトーデス」 免疫が全身のさまざまな臓器を攻撃  

●発症のピーク、男女比など

 ・10~40代

 ・男性1:女性9

 ・およそ10万人に1人の割合で発症

●主な症状

 ・腎臓や中枢神経、肺、、心臓などに免疫異常が起こる

 ・1週間以上続く37~38度の発熱

 ・関節が腫れて痛む

 ・頬に赤い発疹が出る(蝶型紅斑:鼻を中心として頬に羽を広げたような紅斑が出る)

 ・脱毛(円形に抜けることが多い)

「シェーグレン症候群」  免疫が涙腺や唾液腺など分泌腺を攻撃

●発症ピーク、男女比など

 ・40~60代

 ・男性1:女性14

 ・およそ10万人に1人の割合で発症

●主な症状

 ・ドライアイ(涙が出ない、眼に異物感がある)

 ・目が疲れやすい

 ・目がまぶしさを感じる

 ・ドライマウス(唾液が出ない、口が渇く)

 ・唾液が出にくい為、虫歯になりやすい

 ・味がわかりにくい

 ・鼻が乾く

 ・関節痛

 ・皮疹

 ・倦怠感、だるさ

膠原病の原因は? どんな場合になりやすいの?

発症原因はよくわかっていません。

ただ、感染紫外線ストレス女性ホルモンのゆらぎなどが発症の引き金になります。

圧倒的に女性に多いのは?

原因はよくわかっていないものの、発症のトリガー(引き金)としてあげた上記の中に、「女性ホルモンのゆらぎ」

があります。発症の年代をみると、月経のある年代で多く発症しています。そのため、女性ホルモンの影響が指摘されています。

女性ホルモンは免疫反応を促すサイトカインなどの物質を活性化させやすいと考えられていて、このことで免疫の過剰反応が起きるといわれています。

さらに、妊娠や出産も免疫機能に大きな影響を与えます。妊娠すると女性の体は免疫機能が抑えられた状態になります。しかし、出産を機にこの抑制状態は解除されますが、その反動で免疫の働きが一気に高まることで、免疫系の疾患が引き起こされるのではないかと考えられています。

私の体験談~膠原病ではなかったけれど・・・

実は私は、膠原病の検査を2回受けています。

1回目は3人目の産後2~3カ月後だったと思います。

1人目、2人目の産後は体調も大きな変化はありませんでしたが、3人目の産後は、職場復帰した産後1か月目頃から、体調に大きな変化がありました。

微熱、倦怠感がひどい、身体がじりじりする、手の指の関節が腫れて痛いなど、身体の不調がとれず、膠原病なのかと心配になって、内科を受診し症状を話しました。血液検査では問題ありませんでしたが、かなりの期間続きました。

また、関節の腫れと痛みはなかなかなおらず、整形外科にも通院し、しばらく経過をみました。整形でもリウマチの反応は無いと言われましたが、医師の触診と視診であきらかに関節が腫れていたことや、リウマチの反応がなくても、他にいくつかの検査項目が良くなかったためです。医師からは「血液の反応に出なくても、症状が先行するから」と言われました。結局、関節の症状もそのうち消えていきました。

2回目は昨年の事です。月経が不順になり、更年期を迎えたのですが、眼が乾いて、ゴロゴロして、違和感が続いていました。

市販の目薬を使っても、一向によくならず、その頃また体調もくずれ、倦怠感や背中のほてりも現れました。

とうとう眼科を受診。シェーグレン症候群が疑われ、検査を受けました。幸い、病気の診断はありませんでしたが、ドライアイだったので、目薬を処方されています。

産後も現在の閉経をむかえる年も、病気ではありませんでしたが、女性ホルモンの影響を強く感じる出来事でした。現在は更年期の症状を緩和するために、婦人科に通院し、ホルモン補充療法を受けています。様々な症状があらわれると、どこの科を受診すればよいか非常に悩むものですが、私の場合はまずは根本に膠原病が無いかを検査して、その次に考えられる原因を考えながら受診をしました。

現在は、ひどい症状は無くなりました。

ただ、節目に2回も病院まわりをして感じたことは、自分は女性ホルモンに影響を受けやすいこと、そして、こどもの頃から紫外線を浴びると必ず、「蝶型紅斑」ができて、皮膚科に通っていたのですから、おそらく何らかの素因はもっているのだろうと思います。

日常生活でできる予防策はある?

これをしたから必ず予防できるというものは無いですが、ある程度、発症のトリガーはわかっていますので、以下の点に注意して生活を送ることが大切です。

1.風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスなどの感染症にかからないように気をつける。

2.必要以上に紫外線を浴びないように注意し、外出時の日焼け防止対策をする。

3.歯周病は免疫機能に影響するので、放置せず治療を受ける。

4.疲れをためこまない。

受診は何科がいいの?

様々な症状があると、どこの科に受診すればよいか悩んでしまいますが、まずは内科か地域に専門外来があればそちらを受診してください。

膠原病は完治するの?

膠原病は慢性免疫疾患で、完治することはありません。しかし、治療によって、症状が治まった状態にすることは可能です。

これを”寛解”と言います。寛解が治療の目標になりますので、自己判断で治療を中断したりすることは絶対にしないでください。

最後に

膠原病という名前だけを聞くと、非常に珍しい病気なのかと思われますが、女性にとっては身近な病気であり、日常生活を送るうえでも、様々な影響が出てくる病気です。

もし、当てはまるような気になる症状があれば、早めに受診することをお勧めします。

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