うつ病は心の風邪という例え

うつ病を発症して10年、いや、今思い返せば、娘の出産後から異変はあったので、はじまりは18年前なのだろう。

ちゃんと診断を受けるまでに、数年かかった。私の場合、様々な身体症状がでて、精神症状は数年後だったからだ。

初めて受診した精神神経内科。受診するのには抵抗があった。夫に付き添ってもらい、何となく他人の目も気になった。

不安で落ち着かないなか、待合室で何気なく、貼ってあった記事を目にした。

「うつ病は心の風邪です。誰でもかかる病気です。早期発見、治療を受ければ治る病気です。一人で悩まず、早めに専門医に相談しましょう」

そう、珍しい病気ではない。生涯の中で10人に1人はうつ病に罹患するのだから。

この「心の風邪」というキャッチフレーズは、誰にでも起こりうる病気なんだよという、世間に向けて、病気を知ってもらうためのものなのだろうと思う。

ただ、心の風邪は、そう簡単に治ってくれない。うつ病にかかった人の多くはそう感じているはずである。

こんな元気そうにしている私でも、まだ、抗うつ薬を数種類服用しているし、不安に感じることもある。日常生活の中で億劫なことも多い。

そもそも、ここまで回復するには4年かかった。

それに社会復帰も恐る恐るである。

短時間の週3回のパートで自信をつけて、今、フルタイムで週5回の仕事をしている。1日の勤務時間も、仕事の内容も、病気前の仕事に比べたら負担のない仕事。なるべく自分に負荷をかけないように仕事を選んだ。

しかも、周囲には病気であることを打ち明けていない。

誰でもかかる病気であると言われてても、やはり、病気であると知られると、周囲が距離を置くからだ。病気で辞めた職場がそうだったからである。

幸い、私の症状は今安定しているが、治ったわけではない。服用している薬が徐々に減って、服薬することが無い状態で、安定できて、初めて、「治った」といえるのだと思う。

ただ抗うつ薬は、減薬するのにはとてつもなく、大変である。薬で補っていたものが減ると、離脱症状がひどいからである。

私も一番状態の悪い時より、かなりの種類の薬は減ったが、現在内服している4種類はもうここ数年同じ量である。

正直、安定しているなら、このままでも良いかと思う半面、薬に頼らず、普通に生活したい。病気とさよならしたいけどそう簡単にできない。そんな状態である。

地方では薬の処方で、完解まで状態をよくしてくれる医師はいても、積極的に減薬プログラムを組んでくれる医師はなかなかいないのが現状である。

だから、うつ病は心の風邪という軽い病気ではない。日常生活や社会生活に大きな影響を及ぼして、年単位で付き合っていかなければならない病気である。特に精神的に辛い時期は、自殺のリスクも高い。また、病気の回復は一進一退で、一度良くなっても再発率が高く約60%である。

また、特に女性は、妊娠、出産、生理などのホルモンの変動がとても関係し、産後や更年期はうつになりやすいので、体調や日常生活面での変化に注意が必要である。

「うつ病」と付き合いだして、随分長い年月が過ぎた。私なりに、その時、その時の状態に葛藤しながらも、受け入れながら、現在に至っている。自分の中に専門的な知識もあったから、色々な場面で自分の知識に救われた面も大きい。

治ってはいないが、ここまで立ち直れたことは、大きな自信につながっている。

うつ病のことを語ることは、自分にとって、あまり触れたくないことも多いですが、今、ここまできて、ようやく冷静に、病気の過程を振り返る事ができるようになったので、引き続き、また発信したいと思っています。

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